元捕虜、民主党が反米という見解を拒否

レスター・テニー


旧日本軍の悪名高き捕虜収容所、福岡県三井炭鉱での強制労働、そして「バターン死の行進」の恐怖を生き延びた私は、“反米主義
がいかなるものであるかよく知っています。ある人々は、日本の与党である民主党が 反米 であると言いますが、そうでないことを私は知っています。

ワシントンポスト紙の社説は最近、民主党のある参議院議員を911テロ事件事実の否定者であると特定し、それゆえ彼と彼が所属する民主党は反米であり信頼できる同盟国ではないという、遠大な結論を述べていました。911テロ事件に関するこの議員の意見は確かに問題ですが、少数意見であり、私があった他の民主党議員はそれに同意していません。

もっと重要なことは、この議員も民主党のいかなる行為も、アメリカ人に対する侮蔑や不信を表していないということです。それどころか、捕虜として虐待され生還者として無視されてきたアメリカ人に、もうすぐ正義がもたらされようとしているのは、民主党のおかげなのです。これは、自民党政権下では何十年も叶わなかったことでした。

最後に日本を訪問した2008年、私は多くの国会議員に、日本と元連合国捕虜の間の訪問・記憶・和解プログラムとして日本政府が1995年に始めた「平和友好交流計画」からアメリカの捕虜が除外されていることを、告げました

日本はこの15年間で、イギリス・オランダ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドから1,200 人の元捕虜とその家族を日本に招待するプログラムや、日本に収容された捕虜に関するリサーチを支援するため、14億円あまりを費やしてきました。私は国会議員やジャーナリストの方々に、そのプログラムから除外されていることで、私達アメリカ人元捕虜が疎外され再び酷い扱いを受けているような思いでいることを、伝えました

私は、最初に入れられた収容所の所長が「おまえらアメリカ人は犬以下だ!日本人は決しておまえらの友人にはならぬ」と怒鳴った言葉を、思い出していました。私が話をした民主党議員の方々は皆さんこのことを知って困惑し、現在日本の最も緊密な同盟国であるアメリカの国民が軽んじられているこの状況を正すため、できる限りのことをすると約束してくれました。

私や他の人々の懇願に応えて民主党の議員達は200812月、厚生労働省に、個々の捕虜と彼らに強制労働を課した企業に関する未公開の資料を、国会に提出させました。

厚生労働省は、麻生首相の親族会社の炭鉱で300人のイギリス・オーストラリア・オランダ人捕虜が強制労働に就かされていたことを、確認しました。

そして2009年の2月には、彼らの質問が、日本政府として初めて元旧日本軍捕虜に謝罪する正式な声明を出させることに、繋がりました。

また、日本軍の捕虜虐待と日本の彼らに対する悔恨の欠如の問題を調査するため、民主党捕虜問題小委員会が設立されました。その結果、自民党政権は昨年夏、7人の年老いたアメリカ人元捕虜とその配偶者あるいは付き添いを日本に招待するために 1,800万円を計上すると、申し出ました。

元捕虜の仲間と私は、前自民党政権が考えたこのプログラムを、無礼で屈辱的なものと考えています。それは、私達全員が死んでしまうのを待ち、誠実な謝罪をしないで済ませるための、単なる方策のように私達には見えます。参加できる元捕虜がごく少数であるばかりでなく、日本が他の国の元捕虜に提供した額に比べて、予算があまりにも少ないのです。私達は、再び「犬以下」に扱われたような気持ちにさせられました。

それは、拷問や虐待の被害者はそれを受けた者ばかりでなく、彼らの心的外傷後ストレス障害を共に耐えねばならなかった妻や子供や家族も含むという、昨今受け入れられている理解を、退けるものです。そしてそれは、日本軍元捕虜のためのいかなるプログラムでも主要項目であるべき責任と記憶を無視しています。

私は、民主党がこのプログラムを拡大し、生存するアメリカ人元捕虜や未亡人そして子供達みんなが参加できるよう、真摯な努力をしてくれるものと信頼しています。私は、民主党政権が、かくも長い間無視されてきたアメリカ人の傷を修復するため、一生懸命働いてくれると信じています。

そして過去の自民党政権とは違い、民主党は捕虜関連の資料を一般に公開し、アメリカ人捕虜に関するリサーチを支援してくれることでしょう。

これらの努力は、私たち二国間に今ある強い絆をさらに強化させ、確認させるのです。米日同盟は、日本に平和と民主主義をもたらすことに尽くした米軍兵士の貢献と犠牲によって生み出され、今日維持されているのです。日本軍の捕虜だったアメリカ人は、この同盟の歴史の一部なのです。

ワシントンポスト紙の社説が非難した藤田幸久参議院議員は、2001928日 付けの朝日新聞「私の視点」 (翌月インタナショナル・ヘラルド・トリビューンが英語訳掲載)ににこう書きました。

「戦時補償米捕虜訴訟の政治的解決を:米軍元捕虜の訴えは講和条約で法的に決着済みと突っ張る日本は、世界に逆行するイメージを際立たせている。老い先短い元捕虜が望んでいるのは金銭ではなく、こころの傷をいやす謝罪だと聞く。」

全くその通りで、私達の老い先は短く、私達は平和の現実と責任と記憶の大切さのために生きているのです。ワシントンポスト紙が、民主党のこのような側面を見ようとしなかったのは、残念です。日本とアメリカとの歴史に正直に向かい合おうとする姿勢は、アメリカに対して嫌悪と不信感を抱く政府のそれではありません。

過去の不正行為を修正したいという願いは、50数年間の自民党政権下では欠けていた稀有な勇気と強さを、示しています衰弱して病んでいる年老いたアメリカ人元捕虜に対する民主党の心優しい理解を、私は嬉しく思います。

私が知る民主党議員の方々は、日本が長い間過去を認めようとしなかったことで傷ついていたアメリカと日本の間の信頼を回復するために、一生懸命働いてくれています。アメリカ人捕虜が置かれた苦境を認めることは、米日同盟の根幹を象徴するものと信じて疑いません。


レスター・テニー博士

バターン死の行進生還者
「バターン・コレヒドール防衛兵の会」元全米会長