アンソニー君ワシントンDCへ

日本軍捕虜の歴史を学び数多く発表してきたアンソニー・ゼンデヤス君は、「海外派兵退役軍人会」(VFW)主催の ”民主主義の声コンテスト” ワシントン州大会で第一位に選ばれ、1,700ドルの奨学金とワシントンDCへ2回の旅行を獲得しました。

最初の旅行 (3月5-10日)で、彼は3万ドルの奨学金と博物館訪問、そして大統領に会える可能性を目指して、競争します。

2回目の旅行(6月17-20日)では、全米若者リーダーサミットに参加し、リーダーシップ・市民ワークショップに出席し、フィラデルフィアに旅行し、「生きた歴史の発表」を聞きます。

アンソニーの優勝エッセイ

英雄達の中で
          アンソニー・ゼンデヤス

世界には、「アメリカには英雄がいない」と批判する人がいます。でも僕はこれまで、何百人もの英雄に会い、彼らを抱きしめ、彼らと語り合い、そして彼らが涙ながらにその人生を語るのを聞いてきました。

僕はこの4年間で、第二次大戦時に日本軍に捕われた35人の元米捕虜に会い、彼らの体験を記録するという栄誉に浴しました。その中の20人は「バターン死の行進」の生還者でした。これらの人々は3年以上にもわたって拷問され、奴隷労働を課され、組織的に尊厳を奪われたのです。彼らの物語に大変感動した僕は、彼らが僕達の自由のために払った英雄的犠牲を描く15分の一人芝居劇を書きました。これらのアメリカの偉大な英雄達は、肉体的には戦場から帰還したかもしれませんが、彼らの魂は戦友の死を嘆きながら、今でも海の彼方で戦っているのです。

僕はこれまで、「退役軍人の日」や「追悼の日」に、数え切れないほど一人芝居を演じ捕虜の物語を語ってきましたが、そのおかげで朝鮮戦争やベトナム戦争や冷戦、そしてテロとの戦いなどを戦ってきた何百人もの他の退役軍人と話す機会に恵まれました。これらの勇敢な男女は死の影の谷を歩き、戦争という地獄を生きたのです。彼らの物語は、僕の心に鮮明なイメージを残しました。僕は、目が落ち窪み顎を突き出した捕虜のイメージを見ます。僕は、戦い生き残りそして勝とうとする彼らの意思を見ます。立派な軍服を着ているから英雄なのではなく、稀有な行為をさせずにはおかない心の中の何物かによって英雄は生み出されるのだということを、僕は学びました。

英雄とは、地獄のような状況でも戦いを諦めない人です。彼女は、バターン半島の陥落後も病気の兵士や負傷した兵士を看護するために留まることを選んだ、従軍看護婦なのです。彼は、自分自身も撃たれながら、負傷した仲間を戦場から抱え戻す兵士なのです。彼は、敵からの発砲を受けながら傷ついた仲間を救出しようとするヘリコプター操縦兵なのです。彼は、僅かのパンと水だけで暗く冷たい独房での一年間を生き抜いた捕虜なのです。

それはまた、戦いが終わって帰還した後、戦場で味わった恐怖を一生心の中に抱えながらも、家庭を築くために前向きに生きようとしている人です。

僕が退役軍人にあって驚くのは、彼らが本当に謙虚なことです。彼らは見せかけの立派さを装うことをせず、目立とうとすることもありません。謙虚さの中で彼らは、真の英雄は国に奉仕して死んでいった男女達であることを、何度も僕に教えてくれました。彼らは、真の英雄は無名の墓標や白い墓石の下に眠る人々であると、言いました。そして失われたそれらの英雄に加えて、孤独の夜を耐える妻や、夫がかつて使った枕にすがりつく未亡人や、息子の戦死を伝えに来た使者がノックするドアを開ける母親や、壁に張られた父親の写真に「お父さん愛しているよ」と囁く息子がいるのです。

僕は、戦場から帰還した人々もやはり英雄であることを知っています。彼は、娘の額にキスして愛情を示す父親です。彼は、夜が長く明日は暗い日であることを知りつつも、勇敢に世界を見つめ、生きていることと自由であることの喜びを噛み締めます。英雄とは、傍にいる仲間のために戦う人、彼自身を超越する偉大なことのために死ぬ人のことです。

僕は、この偉大の国のために人々が想像もつかないほど大きな犠牲を払った人々と、出会いました。彼らは自分達の体験を語り、まるで僕もそこにいたように感じさせてくれました。僕は、彼らと一緒に太陽を背にして、戦闘の真っ只中にいるような気分になりました。僕は、過去を思い出して昔の話をする(初めてそれを話した人もいました)英雄達の目が悲しみと悔しさの涙で縁取られるのを、見ました。僕は、自由であることがどんなに素晴らしいかを語る彼らの目が、喜びと幸せの涙で滲むのを、見ました。そして僕は彼らの目を通して、稀有な行為をしたにも拘わらず彼らがとても謙虚であることを見ます。彼らの心の中に、死んでいった仲間や友人や家族に対する愛を見ます。

これらの名誉ある男女たちが英雄なのです。彼らの歴史は、僕の心の中で生きています。彼らの英雄的な犠牲と彼らの生き方は、僕の人生に大きな影響を与えました。彼らに会っていると、彼らのようになりたいと心から願わずにはいられません。そうです。アメリカに英雄はいるのです。これらの人々に囲まれ、彼らを尊敬し、彼らが払った犠牲を記憶することは、名誉なことです。
 

「海外派兵退役軍人会」(VFW)全米代表のトーマス・トラドウェル氏 とアンソニー
 

14歳で書いた捕虜の救出と地獄船に関するアンソニー自作自演の一人芝居

16歳で書いたエッセイ:米退役軍人を敬う僕の役割:真に犠牲的行為の現実を描く